東京都交響楽団が2026年度楽季プログラムを発表

クーシストは弾き振り、ルスティオーニはマーラー「復活」でポスト就任を飾る!

 東京都交響楽団は10月8日、2026年度楽季プログラム(2026年4月~27年3月)を発表した。定期演奏会A・B・Cシリーズ各8公演、プロムナードコンサート5公演、都響スペシャル11公演(12月:同一プロ3公演)の計40公演。なお、従来東京文化会館で行われていた定期Aシリーズは、改修工事による休館のため26年度~28年度は東京芸術劇場で休日昼に開催される。

 先日9月24日に、同年度からの新たな指揮者体制を発表したばかりの都響。まずは、ポストに就く二人の指揮者、ペッカ・クーシストダニエーレ・ルスティオーニに注目したい。ヴァイオリニストとしても世界的に活躍するフィンランドの鬼才クーシストは、28年度の首席指揮者就任に先立ち、アーティスト・イン・レジデンスとして2つのプログラムに「指揮&ヴァイオリン」で登場。6月の定期Aではハイドンの交響曲第45番「告別」、定期B&都響スペシャルではアンデシュ・ヒルボリの日本初演作などを弾き振りする。それぞれメインの交響曲として、ラウタヴァーラの第7番「光の天使」ならびにシベリウスの第5番と、“お国もの”が組み合わせられるのも興味深い。

ペッカ・クーシスト ©Rikimaru Hotta

 一方、メトロポリタン歌劇場やフランス国立リヨン歌劇場など、欧米のオペラハウスで地歩を固めるイタリアの俊英ルスティオーニは、11月にマーラーの「復活」で堂々たる「首席客演指揮者就任記念」を飾る。冨平安希子(ソプラノ)&藤村実穂子(メゾソプラノ)ら二人のソリスト、そして新国立劇場合唱団とともに、この楽曲の持つ壮大なメッセージを高らかに歌い上げることだろう。また、それに先立つプロムナードコンサートでは、モルドバ出身の注目株、アレクサンドラ・コヌノヴァとストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲を披露。

ダニエーレ・ルスティオーニ ©Davide Cerati

 2015年以来の長きにわたった音楽監督の任を終える大野和士は、26年度は芸術顧問として2プログラムを指揮。9月のR.シュトラウス「ドン・キホーテ」では二人の首席奏者、伊東裕(チェロ)&篠﨑友美(ヴィオラ)がソリストを務め、楽団との変わらぬ絆を示してくれるだろう。27年3月にはロマン・シモヴィチ(ロンドン響コンサートマスター)とバルトークの協奏曲第2番で共演、そしてブラームスの交響曲第1番で堂々とシーズンを締めくくる。桂冠指揮者のエリアフ・インバルは第3次マーラー・シリーズの第3弾として難曲・第7番に臨み、終身名誉指揮者の小泉和裕はハイドン・ベートーヴェン・ブラームスなど独墺の大作曲家に取り組むなど、その他の指揮者陣も各々の方向性を明確に打ち出したプログラムを披露する

※特別客演指揮者/ミュージック・パートナーに任期無しで就任するアラン・ギルバートは、サバティカル休暇のため同年度の出演予定はなし。

左より:大野和士、エリアフ・インバル、小泉和裕(以上©Rikimaru Hotta)

 客演陣も見逃せない面々が揃った。まず、昨年の鮮烈な“自作自演”も記憶に新しいジョン・アダムズが5月にカムバック。今回は「ハルモニウム」など合唱付きの自身の作品に加え、アイヴズの「答えのない質問」でタクトを振るうのも期待が高まる。さらに、来年3月をもって東京交響楽団音楽監督の任期を満了するジョナサン・ノットが10月に登場。スクリャービン「法悦の詩」、ブルックナーの交響曲第6番(ノヴァーク版)などで都響とどのような協働の成果を実らせるか、注目だ。ピエール・デュムソー(4月)、沖澤のどか(27.1月)らに加え、9月のプロムナードコンサートには、22年秋より名門 ベルリン・コーミッシェ・オーパーで第一カペルマイスターを務める八嶋恵利奈が出演するなど、国際的に活躍する若手の登場も見逃せない。

 ソリストも、アンヌ・ケフェレック(10月)、ピョートル・アンデルシェフスキ(11月)ら大ベテランから、久末航(4月)、中川優芽花(27.1月)ら国際コンクールで実績を残すホープまで充実の陣容。新体制で臨む都響の第一歩に注目したい。

文:編集部

東京都交響楽団
https://www.tmso.or.jp