
スロヴェニア・フィルハーモニー管弦楽団が首席指揮者カーキ・ソロムニシヴィリとともに来日する。阪田知樹とアレクサンダー・ガジェヴをソリストに立てた2つのプログラムが披露される。
スロヴェニア・フィルはリュブリャナを拠点とするオーケストラ。その前身は1701年に創設されたアカデミア・フィルハーモニコルムにまで遡る。歴史的にドイツとの結びつきが強く、ハイドンやベートーヴェン、ブラームスらを名誉会員に迎えた歴史を誇る。指揮のカーキ・ソロムニシヴィリは1990年ジョージア生まれの俊英。トビリシ・オペラ・バレエ劇場やジョージア・フィルで経験を積み、昨年この楽団のシェフに就任した。
11月28日の公演は阪田知樹との共演で、ブラームスのピアノ協奏曲第1番と第2番の両方が演奏される。これはソリストにとっては超重量級のプログラムだ。ほとんど交響曲並みのスケールを持つブラームスのピアノ協奏曲を2曲とも弾くとは! だが、阪田知樹が弾くというのなら期待感は高まるばかり。高度なヴィルトゥオジティと知性を併せ持つ名手にして初めて可能なプログラムだろう。
11月24日と27日の公演では、アレクサンダー・ガジェヴがラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏する。ガジェヴは確かな技巧に加えて、作品を一から見つめ直すような思索的なアプローチを特徴とするピアニスト。華やかさだけにはとどまらない作品の魅力を明らかにしてくれることだろう。24日はブラームスの交響曲第1番、27日はチャイコフスキーの交響曲第5番でオーケストラの持ち味が発揮される。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2025年9月号より)
日本・スロヴェニア友好プロジェクト カーキ・ソロムニシヴィリ指揮 スロヴェニア・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:阪田知樹、アレクサンダー・ガジェヴ
11/27(木)♦、11/28(金)★ 各日19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp
他公演
2025.11/24(月・休) 横浜みなとみらいホール♦(神奈川芸術協会045-453-5080)
11/29(土) 大阪/ザ・シンフォニーホール ♦(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)
★阪田知樹(ピアノ) ♦アレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ)
※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

飯尾洋一 Yoichi Iio
音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 http://www.classicajapan.com/wn/

