ベルリン・フィルのストリーミングサービス「デジタル・コンサートホール」が新シーズン開幕を前に早割キャンペーンを実施

ペトレンコの《千人の交響曲》《ラインの黄金》も！

　ベルリン・フィルのストリーミングサービス「デジタル・コンサートホール」（DCH）が、2025/26シーズン開幕を前に早割キャンペーンを実施している。

　新シーズンが開幕する2025年8月29日までに「12ヶ月チケット」を購入すれば、通常価格169ユーロのところ、10％割引の152.10ユーロ（26,000円）に割引となる。12ヶ月チケットの購入者は、新シーズンのコンサートをライブで視聴できるほか、850本以上の過去の公演映像を含むアーカイブも利用可能 。アーカイブには、独占インタビューやドキュメンタリー映像、プレイリストなどさまざまなコンテンツが含まれている 。

　各公演のライブ配信は、時差を考慮して日本でも見やすい時間帯に再配信が実施されるので安心だ。今年は3月にHIMARI（ヴァイオリン）、6月に山田和樹（指揮）が出演して大いに注目を集めたが、2025/26シーズンももちろん見どころ満載だ。

　8月29日（日本時間30日）、首席指揮者キリル・ペトレンコのタクトでシーズンは開幕。ブラームスの交響曲第1番、ツィンマーマンのオーボエ協奏曲（独奏：アルブレヒト・マイヤー）など重厚なプログラムが組まれた。

　シーズンのハイライトは、なんと言ってもペトレンコが振る2演目。来年、同楽団がザルツブルク復活祭音楽祭に復帰するのに合わせて、同地とベルリンの両方で予定されているプログラムだ。まず、1月16、17日には、実に15年ぶりの演奏となるマーラー「千人の交響曲」を（ライブ配信は17日＝日本時間18日のみ）。ジャクリーン・ワーグナー（ソプラノ）、ベンヤミン・ブルンス（テノール）ら歌手陣とベルリン放送合唱団、ベルリン国立大聖堂少年合唱団などが一体となり、壮大なステージが展開される。そして、もうひとつの大規模プロジェクトが、《ニーベルングの指環》ツィクルスの始動。3月末から4月上旬にかけてザルツブルクで《ラインの黄金》が上演されるが、その後4月10日（日本時間11日）にはベルリンでも上演が予定されており、DCHで視聴できる。クリスティアン・ゲルハーヘルのヴォータン役デビューという話題性に加え、演出はあのキリル・セレブレンニコフということで、“二人のキリル”がタッグを組んだ刺激的なステージが展開されることだろう。

　アーティスト・イン・レジデンスを務めるヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンは、10月にペトレンコとのブラームス協奏曲、1月にサイモン・ラトルとのプロコフィエフの協奏曲第1番に登場。その卓越した技巧と洗練された深みのある音色で、説得力あるパフォーマンスを繰り広げてくれそう。今年11月には来日も予定されているが、いち早くDCHでその演奏に触れることができる。

　古楽系の指揮者の登場も、このシーズンの見どころのひとつ。やはり大注目なのは、84歳でベルリン・フィル・デビューを飾るジョルディ・サヴァール。モーツァルト「ジュピター」交響曲やラモー、グルックを世界最高の精鋭集団を相手に、どのような解釈で聴かせるか。これまでにもたびたび客演しているエマニュエル・アイムによるフランス・バロックの夕べ、今回が初登場のラファエル・ピションによるバッハ「ミサ曲ロ短調」も楽しみ。

　そのほか、ダニエル・バレンボイム、ヘルベルト・ブロムシュテットといったレジェンド・クラスから、ダニエレ・ガッティ、フランソワ＝グザヴィエ・ロト、アンドリス・ネルソンス、トゥガン・ソヒエフといったまさに脂の乗った世代、そしてラハフ・シャニ、ペトル・ポペルカ（初登場）、ミルガ・グラジニーテ＝ティーラ（初登場）、クラウス・マケラといった中堅〜若手まで、ラインナップはさすがに超豪華だ。ソリスト陣は、ラン・ラン、ヒラリー・ハーン、樫本大進、ゴーティエ・カプソン、ジョイス・ディドナート、バンジャマン・ベルナイムなど、こちらも目を離せない。

　自宅にいながらにして、リアルタイムでヨーロッパの音楽最前線を4K画質＆ハイレゾ・ロスレス音声で楽しめ、豊富なアーカイブ映像も見放題となるDCH。この機会に、視聴環境を整えて、臨場感豊かなサウンドを体験してみてはいかがだろうか。

文：編集部
写真提供：Berlin Phil Media