Roger Norrington 1934-2025
イギリスの指揮者ロジャー・ノリントンが7月18日、逝去した。享年91。

©Thomas Jackson at Tynesight Photography
古楽演奏の先駆者として知られ、1978年にロンドン・クラシカル・プレイヤーズを創設。ヴィブラートを排した透明感のある響きに強いこだわりを持ち、ベートーヴェン演奏におけるテンポ解釈でも賛否を巻き起こしたが、18〜19世紀のレパートリーの演奏に新たな光を当て、その革新性は後に広く認められるものとなった。
1998年から2011年までドイツ・シュトゥットガルト放送交響楽団(SWR)の首席指揮者を務め、モダン楽器を用いたピリオド奏法を積極的に取り入れ深化させた。2011年からはチューリヒ室内管弦楽団の首席指揮者も務めた。ノリントンが音楽界に巻き起こした議論は、20世紀の演奏史を振り返るとき、ひとつの大きな転換点であったと言える。
日本でもNHK交響楽団にたびたび客演し、独自の解釈による演奏で聴衆に鮮烈な印象を残した。
文:編集部


