265回目のバッハの命日に「ロ短調ミサ」を捧ぐ
「自分たちが理想とするバッハの調べを」と、1990年に鍵盤楽器奏者で指揮者、研究者でもある鈴木雅明によって神戸で創設され、今や世界中から熱い視線を注がれているバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)。2013年2月にはバッハの「教会カンタータ」の全曲演奏と録音を完遂、音楽監督の鈴木と共に第45回サントリー音楽賞を受賞した。その受賞記念コンサートには、名演を紡いできた名手たちが集結。バッハが自らの集大成に位置付けたとされる傑作「ロ短調ミサ」を披露する。
サントリー芸術財団が1969年の創立以来、わが国での洋楽の振興を目的として、毎年、その発展に功績のあった個人や団体に贈呈している同音楽賞。スウェーデンBISレーベルへのカンタータ録音や海外ツアーを重ねているBCJの贈賞理由には、「バロック演奏の分野で新たな水準を獲得、作品内容をテクスト・音楽ともに深く掘り下げた演奏で、国際的に高い評価を得た」ことが挙げられた。
今回は、ハンナ・モリソンとレイチェル・ニコルズ(ソプラノ)、ロビン・ブレイズ(カウンターテナー)、櫻田亮(テノール)、ドミニク・ヴェルナー(バス)というソリスト陣をはじめ、声楽・器楽ともに名手が顔を揃え、「ロ短調ミサ」に魂を込める。「戦後70年、阪神・淡路大震災から20年の今年。私たちBCJも創設25周年、カンタータの録音開始からも20年を迎える。この記念すべき年に、これ以上ふさわしい作品はない」と鈴木。「265回目のバッハの命日に演奏できるのもまた、人知を超えた出来事という他はない」と語る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)
7/28(火)19:00 サントリーホール
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
http://www.suntory.co.jp/sfa/music