ノットと東響のブルックナーにはある種の烈しさがある。長年のコンビネーションにより、東響は柔軟な反応とアンサンブル精度を兼備、美しさや雄大さも十分。ノットはその土台の上で、ブルックナーを神聖視せず古典から連なる作品として臨もうとしている。整っているのにゴツゴツした手触り、どの声部もクリアなのにライブ感満点の熱量。これらの特徴は初期の第2番の魅力にも同化。各楽章に興奮がこもるし、端整かつ美麗な仕上がりのアンダンテには陶然。第2稿使用だが、アンダンテを第3楽章に置くなど第1稿を採用した場面も多い、いわば「ノット版」になっている。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年12月号より)
【information】
SACD『ブルックナー:交響曲第2番 /ジョナサン・ノット&東響』
ブルックナー:交響曲第2番(1877年ノーヴァク版第2稿)
ジョナサン・ノット(指揮)
東京交響楽団
収録:2022年10月、ミューザ川崎シンフォニーホール&サントリーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00852 ¥3850(税込)