広島東洋カープの球団応援歌「それ行けカープ」を作曲した故・宮﨑尚志の次男で作曲家の宮﨑道が、「いつか広響に演奏してもらいたい」と願いつつも亡くなった父の構想に基づいて完成させたのが、2008年初演の「カープ・シンフォニー」。原爆投下により焦土と化した街に終戦わずか4年で誕生した市民球団は、まさに戦後復興の象徴でもあった。5楽章からなる約35分のシンフォニー全編にその歴史が織り込まれ、平和への祈りが込められた響きは、未来への希望も感じさせる。なじみの旋律が登場するたびに、ファンなら感涙必至。広島人のカープ愛・郷土愛に脱帽の一枚。
文:杉村 泉
(ぶらあぼ2024年12月号より)
【information】
CD『THE CARP SYMPHONY/山下一史&広響』
宮﨑道:THE CARP SYMPHONY
山下一史(指揮)
広島交響楽団
収録:2023年12月、広島文化学園HBGホール(ライブ)
広島交響楽団
HSOCD0607(完全限定生産盤)
¥2000(税込)