名手たちが奏でるピアノ四重奏の魅力
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノによる四重奏。この編成は他の室内楽と違い、楽器が一つも被らないため、個々の技巧とアンサンブルの対話を同時に味わえるのが魅力だ。その分、奏者には高い能力が求められることになるが、今回登場する4人ならば何の心配もない。チャイコフスキー国際コンクール第2位の加藤知子、N響の首席ヴィオラ奏者としておなじみの佐々木亮、そして同じくN響の首席チェロ奏者として活躍した木越洋(2014年に退団)、近年はデュオとしても積極的に活躍している中井恒仁。ソロとアンサンブルの双方に精通した彼らなら、モーツァルトの第2番の悠揚とした流れも、ブラームスの第1番の情熱と緻密さも、知的かつ雄弁に語ってくれることだろう。そして今回もうひとつ楽しみなのが、佐々木と中井が共演するシューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」。よく知られているチェロ版の演奏とは違う色彩感や抒情味に触れながら、ソロ楽器としてのヴィオラの魅力を存分に味わって欲しい。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
4/24(金)19:00 JTアートホールアフィニス
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp