ウィーンの作曲家たちの晩年の名作を集めて
1928年オーストリアに生まれ、戦中、戦後のウィーンやパリで数々の伝説的な演奏家の薫陶を受けたイェルク・デームス。バドゥラ=スコダ、グルダとともに“ウィーン三羽烏”と呼ばれた彼は、クラシック黄金時代から続く古き良きウィーン音楽の感性を体得する、最後の巨匠ピアニストの一人だ。
デームスが用意した今回のプログラムは、すべてがウィーンにゆかりのある作品。一説にハイドンがモーツァルトの死を悼んで作曲したと言われる「アンダンテと変奏曲」、モーツァルトのソナタ第11番、ベートーヴェンのソナタ第31番、ブラームスの「6つの小品」op.118、シューベルト「4つの即興曲」D899と、作曲家達がウィーンで辿りついた晩年の境地を聴く作品が集められている。今年87歳を迎えるデームスの演奏でこうした作品を聴くことの価値は、計り知れない。巨匠の長きにわたる演奏家人生が作品の精神と一つになる、貴重な音楽を聴くことになるだろう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
4/7(火)18:30 日経ホール
問 日経ミューズサロン事務局03-3943-7066
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