アンサンブル・ノマド 10月定期は女性作曲家特集!

©Maki Takagi

 「私もここにいるわ!」。作家カーライルの才能ある妻ジェーンによるこの悲痛な言葉は、かつての女性の社会的地位、生き様を想起させる。アンサンブル・ノマドの第82回定期は、「多様性(ダイバーシティ)」を掲げた女性作曲家特集。これまでひとひねりあるプログラムで魅せてきたノマドだけに、今回の選曲も多彩だ。中世の女性作曲家ヒルデガルト・フォン・ビンゲンから、ギタリストでもあるスペインのイネス・バダロ、気鋭の作曲家・小栗舞花、そしてドイツで個展を開催した実力派の山口恭子への委嘱新作「溶解炉」まで、女性作曲家の「今」を知るにはうってつけである。演奏会の最後に置かれたのは、ヴィオラとピアノのための武満徹「鳥が道に降りてきた」。なぜ?と思うかもしれないが、実はこの美しい作品の発想の源泉は、武満が愛してやまなかった女性詩人エミリー・ディキンソンの自然と愛を謳った詩なのだ。名手ぞろいのノマドによる魅惑の世界に乞うご期待!
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2024年10月号より)

アンサンブル・ノマド 第82回定期演奏会 ダイバーシティ・多様性 Vol.2 私もここにいるわ!
2024.10/5(土)14:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:キーノート0422-44-1165 
https://www.ensemble-nomad.com