ダイナミックな魅力に溢れた新バージョン
伝統を守りながら、チャレンジを続ける谷桃子バレエ団。男性ダンサーも充実し、トリプルキャストで古典を上演できるカンパニーである。新作の『海賊』は、古典バレエのプリンスとは一味もふた味も違う、ダイナミックで雄々しい男性的な魅力にあふれた主人公が活躍する作品。ギリシャを舞台に、海と冒険を愛する海賊たち、美女や奴隷商人、大金持ちのパシャらが入り乱れ、物語が展開する。
演出・振付は、元キーロフ(現マリインスキー)・バレエ団プリンシパル、エルダー・アリエフ。物語の筋を整理、新解釈でわかりやすいものにする一方、オリジナル振付の魅力を生かし、かつ見ごたえあるダンスシーンへと発展させている。他の版との大きな違いは、海賊の首領コンラッドの魅力をより際立たせていること。この役を持ち役としてきたアリエフ独自の視点で、作品に新しい光が当てられる。監修・指導はイリーナ・コルパコワ、その薫陶を受け、ブラッシュアップされた舞台に期待したい。
文:守山実花
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
3/21(土・祝)14:00 19:00、3/22(日)16:00
東京文化会館
問:谷桃子バレエ団03-3717-7806
http://www.tanimomoko-ballet.com/