【CD】近藤譲:ブルームフィールド氏の間化

 コジマ録音は10年前に近藤譲の出世作となったLP『線の音楽』(1974年発売)をCD化したが、今度は創業50周年記念盤として『ブルームフィールド氏の間化』(76年発売)をリイシュー。本盤は熱い前衛の時代が過ぎ、シンプルでクールなものを求めだす時代の空気を閉じ込めている。弦楽器がグリッサンドで動く表題作は電子音楽への風刺のようだし、単純なアイディアや限られた素材を展開する「視覚リズム法」「歩く」には、とぼけたような冷めた知性がある。「夏の日々」は録音された生活音の影にクラリネットのソロを潜ませる。生真面目な作曲家と思っていたが、実は大らかなユーモアのある人かもしれない。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年8月号より)

【information】
CD『近藤譲:ブルームフィールド氏の間化』

近藤譲:ブルームフィールド氏の間化、視覚リズム法、夏の日々、歩く

川崎雅夫 山口裕之(以上ヴァイオリン) 安永徹(ヴィオラ) 毛利伯郎(チェロ) 高橋アキ(ピアノ) 鈴木良昭(クラリネット) 甲斐道雄(フルート)

収録:1973年3月、上智大学講堂(ライブ) 他
コジマ録音
ALCD-13 ¥3080(税込)