オーケストラのコンサートマスターを務めたかと思えば、ライヴハウスに出現して強力な即興演奏を繰り広げ、さらにはそのステージでタップダンスまで披露する…。この旺盛果敢な表現欲求はどこからくるのだろう。
小澤真智子。その脱ジャンル的ボーダーレスな活動は、彼女が拠点とするニューヨークの相貌をまさに映し出したもの、といっていいのかもしれない。そんな小澤が率いるNYアーバン・タンゴ・トリオが、日経ミューズサロンに登場する。メンバーはアドリアン・エンリケス(ピアノ)とペドロ・ジラウド(ベース)。スタンダードからコンテンポラリーまで、タンゴの新たな可能性を追求するユニットとして、デビュー直後から高い評価を得てきたこのトリオ。ある時はスタイリッシュに、またある時はむせ返るほど濃密な空気を醸し出す音楽の密度とヴァリエーションは、とても3人で演奏しているとは思えないほど。若きヴァーチュオーゾたちが奏でる大都会のタンゴが、聴く者を妖しくも美しい世界に誘うこと、まちがいなし。
文:藤本史昭
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)
3/3(火)18:30 日経ホール
問:日経ミューズサロン事務局03-3943-7066
http://www.nikkei-hall.com