鈴木秀美(指揮) 神戸市室内管弦楽団

独墺の名作曲家たちの系譜をたどる

左:鈴木秀美 ©K.Miura
右:小山実稚恵 ©Hideki Otsuka

 神戸市室内管弦楽団(KCCO)の第163回定期演奏会は、ハイドン(1732〜1809)、ベートーヴェン(1770〜1827)、シューベルト(1797〜1828)の代表曲を音楽監督・鈴木秀美の指揮で届けてくれる。ハイドンの弟子だったベートーヴェン。ベートーヴェンの影響を受けたシューベルト。古典派からロマン派にかけて活動した3人による珠玉のプログラムは、音楽史の系譜を辿りながらも聴衆の想像力を掻き立てるもの。

 ハイドンの交響曲第90番は、パリ交響曲(第82番〜87番)の成功を受けて作曲された名曲。ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中で唯一短調で書かれた第3番は、交響曲の如くスケールの大きな曲。ピアノ独奏は日本を代表する小山実稚恵。意外にも鈴木もKCCOも今回が初共演だとか。そして最後はシューベルトの交響曲第7番「未完成」。2022年から交響曲第1番、第5番と取り上げてきた、鈴木こだわりの作曲家だ。第2楽章までしかないこの曲を完成させるのは、聴衆の想像力だと鈴木は話す。これは聴き逃せない。
文:磯島浩彰
(ぶらあぼ2024年6月号より)

第163回 定期演奏会「果てなき道へ…」 
2024.6/15(土)15:00 神戸文化ホール
問:神戸文化ホールプレイガイド078-351-3349
https://www.kobe-bunka.jp/hall/