第22回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者が発表された。同賞は日本美術協会の設立100年を記念して、前総裁高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」というご遺志を継ぎ、1988年に創設された。同賞には音楽、絵画、彫刻、建築、演劇・映像の全5部門があり、今年は音楽部門でピアニストのマウリツィオ・ポリーニ(イタリア)が受賞した。各部門の受賞者にはそれぞれ顕彰メダルと感謝状、および賞金1500万円が贈られる。各部門の受賞者は以下のとおり。
音楽部門:マウリツィオ・ポリーニ(イタリア)
絵画部門:エンリコ・カステラーニ(イタリア)
彫刻部門:レベッカ・ホルン(ドイツ)
建築部門:伊東豊雄(日本)
演劇・映像部門:ソフィア・ローレン(イタリア)
マウリツィオ・ポリーニは1942年イタリア生まれ。現代最高のピアニストの一人とされ、古典やショパンなどのロマン派の演奏に定評があるが、現代音楽も積極的に取り入れることでも知られている。18歳で出場したショパン国際ピアノ・コンクールで優勝。一時演奏から遠ざかるが、68年の再デビューでセンセーションを巻き起こし、以後ベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲演奏や、自ら企画した「ポリーニ・プロジェクト」での新旧作品を並べた個性的なコンサートが評判になった。日本では1974年の初公演以降、昨年までに計16回公演しており、今年も10月17日、23日、11月3日にサントリーホールで公演を行う。
また、第14回若手芸術家奨励制度の対象団体にはアジアユースオーケストラが選ばれた。同オーケストラは、日本・中国などで音楽教育者や指揮者として活躍するリチャード・パンチャス氏が、1987年にヴァイオリニスト兼指揮者であった故・ユーディ・メニューイン氏と共に香港実業界の支援で香港に設立。アジアの青少年にオーケストラで演奏する機会を提供することを目的としている。毎年オーディションでアジア各国の17歳から27歳の奏者を選び、香港での夏期リハーサルの後、国際的な指揮者とソリストと共に3週間のツアーを行っている。同オーケストラには奨励金500万円が贈られる。
高松宮殿下記念世界文化賞