自分にとって、今いちばん“ホット”なブラームスを
日本でいま「チケットが最も取れないピアニスト」とも言われ、世界的に活躍を続ける反田恭平。2021年に世界三大コンクールの一つ、ショパン国際ピアノコンクールで日本人最高位である第2位を受賞してからは、さらにその人気が高まり続けている。そんな反田が11月に、ドイツを代表するオーケストラの一つであるNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団と初共演し、ブラームスのピアノ協奏曲第1番を演奏する。
「ここしばらく、ドイツ語圏の作曲家の作品を弾きたいという想いがとても強くなっていました。その中でもブラームスの楽曲にはこれからたくさん取り組んでいきたいと思っています。彼のピアノ協奏曲は2曲あり、どちらも大変な名曲ですが、特に規模が大きく劇的な第1番が好きです。終楽章の“猪突猛進”感など、自分の演奏のキャラクターにも合っていると思います」
反田は今年1月にも第1番を日本センチュリー交響楽団(指揮:飯森範親)との共演で披露している。鮮やかな技術はもちろん、広くフレーズをとるスケールの大きな音楽づくりによって、若きブラームスの情熱を見事に表現していた。
「ブラームスの作品は、呼吸をするように自然と演奏できるような感覚があります。“こう弾けばいいのかな”というのが直感的にわかるのです。実は彼の作品にはじめて触れたのはかなり最近で、確か4年ほど前のことだったと思いますが、ピアノ三重奏曲第1番でした。何人かの先生から“君はブラームスの弾き方をわかっている”と仰っていただきました」
ブラームスの作品に対する想いが高まっている反田を支えるのは、作曲者の出身地と同じハンブルクを拠点とするNDRエルプフィル。ギュンター・ヴァントによってその音色と音楽性を確立し、多くの巨匠たちと共演を重ねてきた伝統あるオーケストラだ。今回の指揮を務めるのは、現首席指揮者のアラン・ギルバートである。
「ギルバートさんとご一緒するのは初めてですが、以前、ある演奏家のリサイタルの終演後にお話する機会をいただきました。とても理知的で、あたたかいお人柄が印象に残っています。今回の共演で、音を重ねられることはもちろんですが、指揮者としても学べることがたくさんあると思うのでとても楽しみですね。NDRエルプフィルの演奏はCDやSNSで音源を聴き、特にドイツの音楽に対する解釈と音色に感激しました。皆さんとどんなブラームスを作り上げられるか、期待が膨らみます」
今回、反田のブラームスを楽しめる機会は、大阪、松本、名古屋(完売)、東京(完売)、秋田と全国各地で用意されている。彼自身が「今年ピアニストとして日本で演奏させていただくコンサートの中で一番楽しみ」とまで語るこの公演、ぜひお聴き逃しなく。
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年10月号より)
大和証券グループ Presents
アラン・ギルバート指揮/ピアノ:反田恭平
NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団
2023.11/28(火)19:00 サントリーホール(完売)
問:テンポプリモ03-3524-1221
https://tempoprimo.co.jp
※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。
他公演
2023.11/22(水) 大阪/ザ・シンフォニーホール(06-6453-2333)
11/23(木・祝) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
(テレビ信州チケットセンター026-225-0055)
11/24(金) 愛知県芸術劇場 コンサートホール(完売)
11/30(木) あきた芸術劇場ミルハス(秋田朝日放送事業部018-888-1505)