4人の人気若手・中堅指揮者が、未来に繰り返し演奏される管弦楽曲を世に送り出すという視点で、応募44作から選曲したのがこの《ニュークラシックプロジェクト》だ。映画音楽風・BGM風であったり、はやりの吹奏楽曲的なドラマ性を持っていたりと、作品の個性がそれぞれに異なっていながら、全体を通じて今という世相が音となって浮かんでくるところが面白い。びっくりしたのが城代悠子「IKUSA」で、シンプルで少々俗っぽいテーマを繰り返す。強引とも思える語り口なのだが、こういうストレートな分かりやすさが好きな聴衆はきっとたくさんいるはずで、プロジェクトの面目躍如といったところか。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2023年10月号より)
【information】
CD『NEW CLASSICS by 4 CONDUCTORS/鈴木優人&原田慶太楼&藤岡幸夫&山田和樹』
松井琉成:交響詩「うつしがたり〈翠〉」/山田竜雅:「祈り」〜女声と管弦楽のための〜/城代悠子:IKUSA/萩森英明:東京夜想曲
鈴木優人 原田慶太楼 藤岡幸夫 山田和樹(以上指揮)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
愛知室内オーケストラ
安江陽奈子(ソプラノ)
日本コロムビア
COCQ-85611 ¥3300(税込)