ゴールデン・ウィークの定番イベントとして定着した感のある「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」(LFJ)が今年は東京・金沢に加え、新潟・びわ湖でも開催され、各会場で大変な賑わいをみせた。今年は天気にも恵まれ、有料公演はもちろん、無料公演や周辺で行われたイベントも盛況だった。各地の延べ来場者総数(延べ人数/周辺イベントを含む)を合算すると約97万人が音楽祭を楽しんだ計算になる。
【東京 テーマ:ショパンと宇宙】
東京は4月28日(水)〜5月4日(火・祝)の7日間、東京国際フォーラムを中心に丸の内・周辺エリアおよび池袋の東京芸術劇場でも開催。今年から東京都が推進している「東京文化発信プロジェクト」の一員となり、東京都および東京都歴史文化財団と東京国際フォーラムとの共催になった。また、池袋の東京芸術劇場で5月1日(土)にスペシャルコンサート「パイプオルガンで聴くショパンとその時代」を開催した。誰が出演するかが明かされないまま、暗がりでピアニストが入れ替わり演奏する「クレール・オプスキュール(暗がりのコンサート)」や、当日まで出演者と曲目が発表されない「福袋コンサート」などユニークな企画が登場し話題を呼んだ。
LFJアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏は最終日に行われたプレス懇談会で
「今年は初めて4ヶ所(東京・金沢・新潟・びわ湖)で開催しました。驚いたことに東京のお客さまが東京以外のLFJに、地方のお客さまが東京のLFJにいらっしゃっています。東京からLFJの“輪”のようなものが広がっていると感じています。規模とその影響から、東京のLFJは世界で一番重要なものになったのです」とコメントした。
また同席した梶本眞秀氏(LFJアーティスック・プロデューサー/KAJIMOTO代表取締役社長)は
「ピアニストの小菅優さんが本番5分前ぐらい前に体調不良になりやむをえず出演をキャンセルしてしまうハプニングがありました。そこで小曽根真さんに急遽出演してもらうことになったのです。マルタンさん自らがお客さまに事情を説明して、小曽根さんがステージに登場したとき、会場からは喝采があがりました。こんなうれしいハプニングもLFJならではのことです」とLFJらしいエピソードを語った。
気になる来年のテーマについてマルタン氏は
「来年のナントでのLFJのテーマは“ポスト・ロマン派”です。主にブラームスからR.シュトラウスあたりまでをカバーしたいと考えています。マーラー、シューマン、ベルク、シェーンベルク、ヴォルフ、ヒンデミット、オルフなどもとりあげたいと考えています」
と語った。懇談会では来年の東京のテーマについての明言はなかったが、毎年の傾向からおそらくナントと同じようなテーマになる可能性が高い。
<DATA>来場者総数(延べ人数) 807,900人 丸の内・周辺エリア 386,000人 東京国際フォーラム 420,000人 東京芸術劇場 1,900人 チケット販売数(174公演/前夜祭を含む) 139,030枚 総公演回数 358公演(回) 丸の内・周辺エリア 92公演(回) 東京国際フォーラムでの有料公演 174公演 無料公演 91公演(回)