ポール・マクリーシュ(指揮) 東京都交響楽団

ホグウッドに捧げる2夜

ポール・マクリーシュ ©Ben Wright
ポール・マクリーシュ ©Ben Wright

 ポール・マクリーシュの名前を知る方は、イギリス系古楽シーンに精通されているはずだ。ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズの創設者&リーダーとして先鋭的な演奏をCDでリリースしてきた彼だが、意外なことに今回が初来日。惜しくも先頃天国へと召されたクリストファー・ホグウッドの代役として、都響の指揮台に登場する。
 ルネサンスやバロック音楽のスペシャリストだと思われているマクリーシュだが、実は多彩なレパートリーを有し、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団ほかヨーロッパ各地のオーケストラにも客演。都響の11月定期ではホグウッドが指揮をするはずだった19〜20世紀音楽のプログラムをそのまま引き継いで、斬新な演奏を聴かせてくれる。
 バレエ組曲としてオーケストラや吹奏楽で親しまれているコープランドの「アパラチアの春」は、13楽器のためのオリジナル・バレエ音楽版で演奏。まだ10代後半のR.シュトラウスが作曲した「13管楽器のためのセレナード」は、管楽アンサンブルの隠れた傑作であり、吹奏楽ファンにも知って欲しい作品だ。同時に都響のメンバーそれぞれ(特に管楽器)へ、スポットライトが当たるプログラムだと言っていい。
 そしてメンデルスゾーンの「宗教改革」は、この作曲家の研究・校訂を進めていたホグウッドによるスコアが使われる。最高の供養であると同時に、マクリーシュの知名度を上げる2夜となるだろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)

第778回 定期演奏会Bシリーズ
11/20(木)19:00 サントリーホール
第779回 定期演奏会Aシリーズ
11/21(金)19:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:都響ガイド03-3822-0727 
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