カストラートの歌声を再現!?
女性の声域を担当する男性歌手と言えば、ファルセット(裏声)を使うカウンターテナーが一般的に知られているが、これとは違って、ナチュラル・ボイスで高音域をカバーする歌手のことを「ソプラニスト」と呼ぶ。まずは天賦の身体能力が前提となるため、かつて存在したカストラート(去勢した男性歌手)が歌ったパートを一流歌劇場で披露できる本格的ソプラニストは、世界に数人しか存在しない。その中にあって、第一級のテクニックと音楽性で、尊敬を集めているのがアルノ・ラウニック。幼少時はウィーン少年合唱団に在籍し、変声後はしばらく文筆の世界で活躍、あらためてシュヴァルツコップら名歌手の薫陶を受けて、ソプラニストとしてデビュー、ベルリン国立歌劇場など檜舞台で活躍を続けている。日経ミューズサロンのステージでは、ウィーン在住のピアニスト、みどり・オルトナーと共演。ヘンデルやモーツァルトのオペラ・アリアや、シューベルトのリートなどを“神秘の歌声”で聴かせる。これは必聴だ。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)
11/12(水)18:30 日経ホール
問:日経ミューズサロン事務局03-3943-7066
http://www.nikkei-hall.com