これまでピアニストのマスターピースを中心に録音してきたチョ・ソンジンが、演奏機会の多くないヘンデルのチェンバロ組曲をリリース。現代のピアノで弾くにあたり、音の粒立ちや各声部の際立たせ方、強弱や歌わせ方の自由度といった各面で絶妙なバランスをとり、清々しく現代的なヘンデルの音楽を示した。ブラームス「ヘンデルの主題による25の変奏曲とフーガ」では、ダイナミクスの幅、音の重みをしっかり変え、2世紀の時の流れを的確に反映。キャリアが確かなものとなった正統派ピアニストが、今自ら“発見”した音楽の魅力を伝えることに挑んだ、意欲的なアルバム。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2023年3月号より)
【information】
CD『ヘンデル・プロジェクト/チョ・ソンジン』
ヘンデル:組曲第2番 ヘ長調、同第8番 ヘ短調、同第5番 ホ長調、サラバンド 変ロ長調、メヌエット ト短調(ヴィルヘルム・ケンプ編)/ブラームス:ヘンデルの主題による25の変奏曲とフーガ 変ロ長調
チョ・ソンジン(ピアノ)
ユニバーサル ミュージック
UCCG-45069 ¥3080(税込)