発売当時絶賛に包まれた東京カンマーコレーゲンのシュランメル集『ウィーンはいつもウィーン』待望の復刻盤。何も情報を知らされずに聴けばウィーンのアーティスト?と思うほどその演奏は堂に入っていて驚く。少し上ずった音程の取り方と柔和な音、リラックスした節回しに決して杓子定規にならない柔軟なリズム。リーダーの田中洪至をはじめとする器楽陣6名もさることながら、収録曲中5曲でその美声を披露しているソプラノ佐々木典子のゲミュートリッヒカイトも日本人離れしている。元ウィーン・フィルのギュンター・ザイフェルトがライナーで激賞しているのもむべなるかな。傑作。
文:藤原聡
(ぶらあぼ2023年2月号より)
【information】
CD『“ウィーンはいつもウィーン”―シュランメル 讃歌―/東京カンマーコレーゲン』
ヨハン・シュランメル:行進曲「ウィーンはいつもウィーン」、辻馬車のギャロップ、ワルツ「ウィーン情緒」、オーストリアとは/ヨーゼフ・シュランメル:ヴィンドボーナ オーストリアの真珠、ウィーンっ子はいつも気まま、ポルカ「上機嫌」 他
東京カンマーコレーゲン
佐々木典子(ソプラノ)
収録:1995年10月、府中の森芸術劇場 ウィーン・ホール(ライブ)
ナミ・レコード
WWCC-7976 ¥2750(税込)