【CD】シベリウス:交響曲第7番 他/ニコラス・コロン&フィンランド放送響

 イギリスの俊英ニコラス・コロンと名門フィンランド放送響のCD第1弾はオケ得意のシベリウス。交響曲第7番は、冒頭から拡がりを感じさせる雄大な表現で、晩年の作品世界に引き込む。スケルツォのうねるような内声も後半の爽やかな旋律も、最後の頂点の後の清澄な余韻も才能の煌めきを感じさせる。組曲「ペレアス」〈城門にて〉の暗い未来を暗示する荘重壮大な響きで、シベリウスらしいオーケストレーションの巧みさを浮き彫りにする。〈メリザンドの死〉のしみじみとした悲哀から激しい慟哭に至る構築の巧さも光る。組曲「クリスティアン2世」は、初期の明快さを小気味よく表現して秀逸。
文:横原千史
(ぶらあぼ2022年6月号より)

【information】
CD『シベリウス:交響曲第7番 他/ニコラス・コロン&フィンランド放送響』

シベリウス:交響曲第7番、組曲「クリスティアン2世」、組曲「ペレアスとメリザンド」

ニコラス・コロン(指揮)
フィンランド放送交響楽団

Ondine/ナクソス・ジャパン
NYCX-10305 ¥2970(税込)