※4月16日「東京春祭 歌曲シリーズ vol.35」、及び4月19日「Opera Night」の2公演は中止となりました。詳細は音楽祭公式サイトをご確認ください。
注目は歌曲シリーズ
リッカルド・ムーティ指揮東京春祭オーケストラで開幕した今年の東京・春・音楽祭もいよいよ後半。明日から始まる東京春祭の核ともいえる東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.13《ローエングリン》に向け、海外からの歌手・スタッフも続々来日し、日に日に活気をみせている。世界中の第一線級の演奏家が集結する東京春祭にあって、なかでも今年注目される公演が「東京春祭 歌曲シリーズ 」。
エギルス・シリンスのロシア歌曲集
まず筆頭は、オペラ《ローエングリン》にも出演するエギルス・シリンス(バス・バリトン)は、チャイコフスキー、ラフマニノフ、ムソルグスキーなどロシア歌曲を中心とした公演(4/1)。昨年の中止をうけ2年越しの待望の公演となる。旧ソビエト連邦から独立したラトビア出身のシリンスが難しい世界情勢のいま、どのような心持ちで祖国の歌曲を歌うのだろうか?
マルクス・アイヒェのリサイタルが3年越しにようやく実現
マルクス・アイヒェ(バリトン)が歌うブラームス唯一の連作歌曲「ティークの『マゲローネ』によるロマンス」にも注目したい(4/11)。当初2020年の東京春祭で予定されていたがコロナ禍で中止。そしてまたその翌年の東京春祭でも中止。今年、3度目の正直でようやく実現する。
「ティークの『マゲローネ』によるロマンス」は、旅に出たプロヴァンスのペーター伯がナポリ王女マゲローネと出会って駆け落ちし、途中、離ればなれになりながら再会するまでが、マゲローネの心情も交えて歌われる、ロマンティックで甘い叙情的な作品。すばらしく美しい作品、なのに、なかなか実演に接することが少ないから貴重な公演だ。アイヒェとピアノのクリストフ・ベルナーのコンビも3年前からの予定通り。いかに二人がこの作品を演奏したいか、その意気込みが伝わってくる。朗読に奥田瑛二が出演するのも興味深い。
ブリン・ターフェルのヴォーン・ウィリアムズ
ブリン・ターフェルは世界各地の劇場から引く手あまたの世界屈指のバスバリトン。それゆえオペラでの活躍ばかりに目が行きがちだが、じつは歌曲の名手でもある。2019年の歌曲シリーズに続く今回(4/16)は、シューベルトの歌曲集『白鳥の歌』 からの珠玉の名曲をはじめ、今年生誕150年をむかえたヴォーン・ウィリアムズの「旅の歌」など魅力的な曲目が並ぶ。「旅の歌」はシューベルトの名作「冬の旅」を想わせる美しい歌曲集で、ウェールズ出身のターフェルにとっても思い入れの深い作品だ。
リカルダ・メルベートのワーグナー
新国立劇場にもたびたび登場するなど日本人にもなじみの深いリカルダ・メルベートは、いうまでもなく世界的なワーグナー歌手。今回歌曲シリーズ(4/10)で披露するワーグナーも歌劇《ローエングリン》より「エルザの夢」、歌劇《タンホイザー》より「全能なる処女マリア様」、歌劇《さまよえるオランダ人》より「ゼンタのバラード、」楽劇《トリスタンとイゾルデ》より「イゾルデの愛の死」と、ワーグナーファンなら万難を排してでも聴きたいプログラム。さらに、メルベートがワーグナー同様得意とするR.シュトラウスのオペラをはじめ、ドイツ語オペラの珠玉のアリアがこれでもか、と並んでいる。
共演するピアニストのフリードリヒ・ズッケルはクリスティアン・ティーレマンに認められ、バイロイト音楽祭に音楽アシスタントとして招かれたほか、ドレスデンやバーデン=バーデン祝祭劇場などでズービン・メータ、アダム・フィッシャー、サイモン・ラトルなどとも協働、今年2月にはワーグナー《神々の黄昏》でテアトロ・レアルに指揮者デビューした要注目の逸材だ。
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【Information】
■東京春祭 歌曲シリーズ vol.32
エギルス・シリンス(バス・バリトン)&マールティンシュ・ジルベルツ(ピアノ)
2022.4/1(金)19:00 東京文化会館 小ホール
●出演
バス・バリトン:エギルス・シリンス
ピアノ:マールティンシュ・ジルベルツ
●曲目
チャイコフスキー:
祝福あれ、森よ op.47-5
再び、前のように、ただひとり op.73-6
騒がしい舞踏会のなかで op.38-3
ただあこがれを知る者だけが op.6-6
ドン・ファンのセレナード op.38-1
ラフマニノフ:
いや、お願いだ、行かないで op.4-1
夢 op.8-5
昨日私たちは会った op.26-13
ムソルグスキー:《死の歌と踊り》
第1曲 子守歌
第2曲 セレナード
第3曲 トレパーク
第4曲 司令官
エミールス・ダールジンシュ:
その時を、その瞬間を教えて
わたしの幸せ
スペインのロマンス
ヤーゼプス・ヴィートルス:
あの静かな夜を今でも思い出す
聞いて、きれいな目をした少女よ
蘭の夢
アルフレーツ・カルニンシュ:思うに……
シューベルト:
さすらい人の月に寄せる歌 D870
死と乙女 D531
流れ D565
春の小川のほとりで D361
魔王 D328
R. シュトラウス:
献呈 op.10-1
ああ悲しい、不幸なる者よ op.21-4
私はおまえを愛する op.37-2
●料金(税込)
S¥6,500 A¥5,000
U-25¥1,500
ライブ・ストリーミング配信¥1,100
■東京春祭 歌曲シリーズ vol.34
リカルダ・メルベート(ソプラノ) &フリードリヒ・ズッケル(ピアノ)
2022.4/10(日)16:00 飛行船シアター(旧上野学園石橋メモリアルホール)
●出演
ソプラノ:リカルダ・メルベート
ピアノ:フリードリヒ・ズッケル※
※当初予定しておりました出演者より変更となりました。
●曲目
モーツァルト:歌劇《魔笛》より「愛の喜びは露と消え」
ワーグナー:
歌劇《ローエングリン》より「エルザの夢」
歌劇《タンホイザー》より「全能なる処女マリア様」
歌劇《さまよえるオランダ人》より「ゼンタのバラード」
楽劇《トリスタンとイゾルデ》より「イゾルデの愛の死」
モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》より「私に言わないでください 私の美しいあこがれの人よ」
R. シュトラウス:
歌劇《エジプトのヘレナ》op.75 より「第二の新婚初夜!魅惑的な夜」
歌劇《エレクトラ》op. 58 より「モノローグ」
※当初予定しておりました曲目より変更となりました。
●料金(税込)
S¥6,500 A¥5,000
U-25¥1,500
ライブ・ストリーミング配信¥1,100
■東京春祭 歌曲シリーズ vol.28
マルクス・アイヒェ(バリトン)&クリストフ・ベルナー(ピアノ)
2022.4/11(月)19:00 東京文化会館 小ホール
●出演
バリトン:マルクス・アイヒェ
ピアノ:クリストフ・ベルナー
朗読:奥田瑛二
●曲目
ブラームス:ティークの「マゲローネ」によるロマンス op.33
●料金(税込)
S¥6,500 A¥5,000
U-25¥1,500
ライブ・ストリーミング配信¥1,100
■東京春祭 歌曲シリーズ vol.35 ※公演中止
ブリン・ターフェル(バス・バリトン)&アナベル・スウェイト(ピアノ)
2022.4/16(土)18:00 東京文化会館 小ホール
●出演
バス・バリトン:ブリン・ターフェル
ピアノ:アナベル・スウェイト
●曲目
シューベルト:
愛の使い D957-1(《白鳥の歌》 より)
タルタルスの群れ D583
万霊節のための連禱 D343
水の上で歌う D774
鳩の便り D965a(《白鳥の歌》 より)
ブラームス:《4つの厳粛な歌》op.121
第1曲 人の子らの運命は
第2曲 私は顔を向けて見た
第3曲 おお死よ、なんとつらいものか
第4曲 たとえ私が人の子の言葉で語ろうとも
ヴォーン・ウィリアムズ:《旅の歌》(抜粋)
第1曲 放浪者
第3曲 道端の火
第7曲 私はいずこにさすらうか
第9曲 私は坂を上って、下りた
G.フィンジ:《花束を運ばせてほしい》op.18
第1曲 来たれ、来たれ、死よ
第2曲 シルヴィアって誰?
第3曲 もはや灼熱の太陽を怖れるな
第4曲 おい、俺のカノジョ
第5曲 恋する若者とその彼女
ベートーヴェン:
グレンコーの虐殺 WoO.152-5(《25のアイルランド民謡》 より)
クルーイドの谷 WoO.155-19(《26のウェールズ民謡》 より)
おお、素晴らしい時だった op.108-3(《25のスコットランド民謡》 より)
※当初予定しておりました曲目より変更となりました。
●料金(税込)
S¥13,000 A¥11,000
U-25¥2,000
ライブ・ストリーミング配信¥1,100
【来場チケット販売窓口】
●東京・春・音楽祭オンライン・チケットサービス(web。要会員登録(無料))
https://www.tokyo-harusai.com/ticket_general/
●東京文化会館チケットサービス(電話・窓口)
TEL:03-5685-0650(オペレーター)