色彩感豊かなピアニズムで魅了
昨年、得意曲のラヴェルで固めたソロ新譜を発表した新居由佳梨。繊細で透明度の高い解釈が大好評を博したことは記憶に新しい。そんな彼女の“生のラヴェル”を聴ける機会として昨年からスタートしたのが、自主企画リサイタル『ラヴェル・ピアノシリーズ』。その第2回が「性格的小品、詩的な調べへのオマージュ」をテーマに行われる。
前半は、ドビュッシー(「レントより遅く」など2曲)とラヴェル(「亡き王女のためのパヴァーヌ」など4曲)を対置。同時代に活躍した2人の作風を巧みに弾き分ける。そして後半は、ドビュッシー「月の光」で麗らかに幕開け。その後は、スクリャービンの神秘的な作風を凝縮した「2つの詩曲」、ラヴェルのイマジネーション豊かな「グロテスクなセレナード」「夜のガスパール」と続き、徐々に色彩感と高揚感を増していく。作曲家への畏敬に満ち溢れ、聴き手が聴きやすいようにも配慮された好プログラムは、いかにも彼女らしい。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)
ラヴェル ピアノシリーズ Vol.2
性格的小品、詩的な調べへのオマージュ
7/23(水)19:00 王子ホール
問:プロアルテムジケ 03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp