フルーティスト・林愛実はジャンルレスなレパートリーで多彩な活動を展開しているが、『OLIVIA』と題された本デビューアルバムはその幅広い音楽性を存分に堪能できる見事さだ。サティの「ジュ・トゥ・ヴ」やシベリウスの「フィンランディア」、ガルデルの「ポル・ウナ・カベーサ」、さらには「荒城の月」「ソーラン節」、チャップリンの「スマイル」など全11曲を収録。それらすべてに言えるのは林の清澄なフルートの音色と卓越した技巧、殊にリズム処理の巧みさ。意外性に富んだアレンジの秀逸さも手伝い、フルートの表現力が存分に発揮された名アルバムに仕上がった。
文:藤原聡
(ぶらあぼ2022年1月号より)
【information】
CD『OLIVIA Song × Dance /林愛実&長井進之介』
サティ:ジュ・トゥ・ヴ/シベリウス(保坂修平編):交響詩「フィンランディア」/ガルデル:ポル・ウナ・カベーサ/デンバー/ダノフ/ナイバート(城谷伶編):カントリー・ロード/瀧廉太郎(城谷編):荒城の月/北海道民謡(原礼以菜編):ソーラン節/チャップリン/J.S.バッハ(荻原由実編):スマイル(G線上のアリア)/ZENTA:Olivier 他
林愛実(フルート)
長井進之介(ピアノ)
BRAVO RECORDS
BRAVO-10005 ¥3300(税込)