未来のスターたちの個性が花開く瞬間を楽しむ
「新しい声」を知る愉しみは、青い実に気づく喜びにも似て、「さてどんな風に色づくか?」と密かに見守る日々の喜びを与えてくれるもの。果実も声も光の当たり具合で色は変わり、同じものは二つとない。
この11月にHakuju Hallで開催の「二期会 ディーヴァ, ディーヴォ」第24回に出場する3名は、二期会オペラ研修所を修了し、晴れのデビューコンサートに出演が叶った歌い手たち。第一声を放つ際に多少の緊張が窺えても、それはそれで初々しい。未来のスターがスポットライトを浴びるその瞬間は、客席にも強い印象を残すだろう。
今回は、艶やかな響きが光るソプラノ佐藤初音(《蝶々夫人》のアリアほか)、肌理細やかなフレージングを聴かせるソプラノ重田栞(《ミニョン》のフィリーヌのポロネーズ等)、柔らかく深い声音を誇るバス後藤駿也(《魔笛》のザラストロのアリアほか)の競演(ピアノは平川寿乃)。それぞれの個性が大きく花開くさまに乞うご期待!
文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2021年10月号より)
2021.11/2(火)14:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
https://www.hakujuhall.jp