アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

若き名匠とともに、イタリアの管弦楽曲の魅力をたっぷりと

アンドレア・バッティストーニ ©上野隆文
アンドレア・バッティストーニ ©上野隆文
 東京フィルとともにセンセーションを巻き起こすイタリアの俊英アンドレア・バッティストーニ。若くしてすでにその指揮ぶりには風格が漂う。この5月には、ヴェルディ、ロータ、レスピーギの作品を取り上げる興味深いプログラムを披露する。バッティストーニによれば「イタリアを代表するにふさわしい作曲家」たちが並んだ。
 得意のヴェルディからは歌劇《ナブッコ》序曲。短い序曲のなかにも起伏に富んだドラマを生み出すバッティストーニの手腕がここでも発揮されることだろう。
 ニーノ・ロータは多くの人にとって『ゴッドファーザー』や『ロミオとジュリエット』といった映画音楽の作曲家だろうが、一方で交響曲や協奏曲といった純音楽作品も書いている。今回演奏されるのは組曲「道」。もともとはフェリーニ監督の有名な映画のために書かれたものが、その後、バレエ音楽、さらに組曲へと仕立てられた作品である。バッティストーニは「20世紀イタリアの管弦楽曲のなかでもっとも興味深い曲のひとつ」と称賛している。
 レスピーギからは交響的印象「教会のステンドグラス」。これも楽しみな選曲だ。グレゴリオ聖歌に触発されて書かれた、レスピーギの古楽探求への情熱と卓越した管弦楽法が一体となった色彩豊かな作品である。
 イタリアの管弦楽曲が持つ魅力に改めて気づかされる公演となるだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年5月号から)

第880回 オーチャード定期演奏会
5/15(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
第881回 サントリー定期シリーズ
5/16(月)19:00 サントリーホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
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