念願だった初の無伴奏
16歳でパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールを日本人初、史上最年少で制し、一躍スターダムを駆け上がった、ヴァイオリニストの庄司紗矢香。それから17年を経て、今や“巨匠”への階段を着実に上りつつある彼女が、念願だった無伴奏リサイタルへ初めて挑む。しなやかな音楽性を下支えする、艶やかで芯のある音色と隙のないテクニック。たった1人で臨むステージだからこそ、これらが収斂され、より眩い光を放つ。
「音が“伸びてゆく”感覚が、とても人間的に思えて、すぐに『やりたい』と思いました」とヴァイオリンとの出逢いを語っていた庄司。12歳で全日本学生音楽コンを制し、翌年には渡伊、ウート・ウーギら巨匠の薫陶を受けた。パガニーニ優勝以降は、世界の一線楽団への客演やピアノのメナヘム・プレスラーら巨匠との室内楽での共演など、精力的に活躍。美術など他ジャンルの芸術とのコラボレーションなど、多角的な活動にも力を注ぐ。
庄司の無伴奏と言えば、2010年に発表した、J.S.バッハとレーガーを組み合わせたアルバムが、時空を超えた作品が共鳴し合う骨太な音楽創りで、大きな話題に。今回の無伴奏リサイタルは、パルティータ第2番と、フランスの俊英ピアニスト、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェがオルガン作品から編曲した「幻想曲とフーガ」(BWV542)、バッハの2作品を大枠に。ここへ、庄司がハンガリーの名匠ラドシュ・フェレンツに学んで、その真髄を体得したバルトークの名ソナタと、交流のある細川俊夫へ委嘱した新作の初演を挟み込む。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)
6/7(火)19:00 紀尾井ホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp