スーパー・ソリスト meets 新日本フィル カニサレス(フラメンコ・ギター) & 新日本フィル

スーパー・ギタリストで聴く「アランフェス」


 フラメンコを含むラテン系のワールド・ミュージック・ファンであるなら、その名声は以前より轟いていたであろうギタリスト、フアン・マヌエル・カニサレス。名手パコ・デ・ルシアの薫陶を得てキャリアを積み、ジャンルを超越したミュージシャンたちとの共演も多い彼は、今やフラメンコの世界にとどまらないスーパー・ギタリストとして注目されている。クラシック音楽シーンにも、ラトル&ベルリン・フィルのソリストに招かれて「あれは誰だ?」と多くの人を驚かせた後、日本にもラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのために来日。聴き慣れたロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を、どのギタリストとも異なるタイプのアプローチで演奏し、新しい可能性を提示してくれたのだ。
 9月に予定されている来日ツアーの中でも、その斬新な「アランフェス」を聴ける日がある。松尾葉子指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団が彼のソロをもり立て、即興性にあふれたスリリングな名演が体験できるはずだ。歌と踊りも一体化した彼のフラメンコ・カルテットも出演し、ファリャのバレエ音楽「三角帽子」をフラメンコの領域に引き込んで聴かせてくれるというプログラムにも注目したい。さらにはコンサートの後半において、カルテットによる本格的なフラメンコのステージも。スペインの音楽に横たわる情熱、情念といった要素を体感するには最適の一夜となることだろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

9/26(土)18:00 すみだトリフォニーホール
問:トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212
http://www.triphony.com