二期会 ディーヴァ, ディーヴォ 第23回

無限の可能性が開けるきらめく才能を見つける楽しさ

 功成り名を遂げたベテラン歌手には怒られるかもしれないが、私は未来へ羽ばたこうとしている新星の歌を聴くのが一番好きだ。みずみずしい歌唱に無限の可能性が感じられるからである。将来の金メダリストを見つける楽しさに近い、と言えば伝わるだろうか。

 しかも、二期会オペラ研修所で研鑽を積み、才能を認められたトップの逸材が並ぶのだから、自ずと期待は高まる。

 すでに演奏経験が豊富な石野真帆(ソプラノ)は、《フィガロの結婚》から伯爵夫人、《運命の力》からレオノーラと、声と表現の成熟が求められる役のアリアに挑戦。かなりの自信が感じられる。竹内明菜(ソプラノ)は《マノン》のガヴォットで華やかな色気を弾けさせるだろう。武藤あゆみ(メゾソプラノ)は、《ウェルテル》でシャルロットが歌う〈手紙の歌〉に挑戦。予期せぬ心の高ぶりをどう表現するだろうか。

 彼女たちの歌には、今後のオペラの大舞台への期待がそのまま詰まっている。ピアノは髙木由雅。
文:香原斗志
(ぶらあぼ2021年8月号より)

2021.10/7(木)14:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
https://www.hakujuhall.jp