三ツ橋敬子(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

ヴェルディの魅力をとことん味わい尽くす真夏のステージ

 新日本フィルの2020/21シーズン最後の定期演奏会では、日本を代表する今が旬の4人の歌手たちとともに、ヴェルディの作品を楽しむ。小林厚子は、今年に入って、新国立劇場の《ワルキューレ》のジークリンデ、《ドン・カルロ》のエリザベッタと、立て続けに重要な役を務め、ますます注目度が高まっている。メゾソプラノの清水華澄はオペラ、コンサートのどちらでも活躍する、旬の歌い手。テノールの宮里直樹は、ロドルフォ、カヴァラドッシ、アルフレードなど、プッチーニやヴェルディの人気オペラで次々と大役を歌う期待の星。バスの須藤慎吾は、藤原歌劇団を代表する歌手として人気を博すほか、新国立劇場でも活躍。この4人の歌う《ドン・カルロ》《アイーダ》《ルイザ・ミラー》《イル・トロヴァトーレ》《運命の力》《リゴレット》などの名作のアリアは、まさに聴きものである。「レクイエム」から奉献唱(四重唱)も楽しみ。

 指揮の三ツ橋敬子は、近年、イタリア(ヴェネツィア)を拠点に活躍し、イタリア・オペラのレパートリーを広げつつある。《シチリア島の夕べの祈り》のバレエ音楽「四季」から〈夏〉や〈アイーダ・シンフォニア〉といった、演奏機会の少ないオーケストラ作品の紹介は、彼女ならではといえるだろう。《運命の力》序曲では三ツ橋の真価がわかるに違いない。レア曲から超名曲まで、ヴェルディの音楽を今まさに聴くべき音楽家たちと楽しみたい。
文:山田治生
(ぶらあぼ2021年8月号より)

第636回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉
2021.7/30(金)19:15、7/31(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp