クァルテットウィークエンド2020-2021 クァルテット・エクセルシオ × クァルテット・インテグラ

日本を代表するクァルテットの先達が次世代を導く


 日本では数少ない常設の弦楽四重奏団クァルテット・エクセルシオ。さまざまな切り口で弦楽四重奏の楽しみ方を教えてくれる第一生命ホールの人気企画「クァルテットウィークエンド」は、彼らの活動拠点のひとつでもある。その3月の公演は、「エク」が次世代を担う若手と共演するシリーズの第3弾。クァルテット・インテグラが登場する。

 「インテグラ」は、三澤響果、菊野凜太郎(以上ヴァイオリン)、山本一輝 (ヴィオラ)、築地杏里(チェロ)の4人。2015年の結成当時に桐朋学園の高校生と大学生だった彼らは、現在まだ20代前半。若手ながら、19年の秋吉台音楽コンクール弦楽四重奏部門第1位や、プロジェクトQへの出演、NHK「ららら♪クラシック」出演など、同世代を牽引する存在だ。年に70〜80公演を行う大先輩「エク」の経験とノウハウ、呼吸の一つひとつは、彼らにとっても何よりのお手本になるはず。シリーズ前回公演(タレイア・クァルテットの出演)では、ペグが緩んで、曲間に客席が凝視するなかで緊張気味に調弦する後輩の一人を、「エク」の先輩たちがあたたかい雰囲気を作って見守っていたのも印象的だった。

 曲目は、まず「エク」がシューマンの第2番を、「インテグラ」がシューベルトの「死と乙女」を弾き、後半は合同で、弦楽八重奏の代表曲であるメンデルスゾーンの作品20を弾く。1×8であると同時に4+4。それぞれの個性の調和と競演の妙味。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2021年2月号より)

2021.3/14(日)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
https://www.triton-arts.net