【CD】ベートーヴェン:交響曲第7番 他/ホーネック&紀尾井ホール室内管

 紀尾井ホール室内管の演奏には、首席指揮者ホーネックが拠点としているウィーンの香りが漂っている。堂々とした歩みで、あくまでも正攻法を貫く。弦のサウンドは独特な艶を帯び、管楽器の一吹きもノーブルな気品を纏っていて、まるで保守本流とは我々のこと、と言いたげですらある。現代的な新しさはなくとも、こうした安心して聴けるぶれない音楽には常に変わらぬ需要があるものだ。本盤のモーツァルトとベートーヴェンの交響曲は、まさに紀尾井のウィーンらしさを味わうにはド直球な曲目で、名刺代わりともいうべき仕上がり。「ロマンス」ではホーネック自身もその妙技を披露している。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2021年1月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン:交響曲第7番 他/ホーネック&紀尾井ホール室内管』

モーツァルト:交響曲第25番/ベートーヴェン:交響曲第7番、ロマンス第1番

ライナー・ホーネック(指揮/ヴァイオリン)
紀尾井ホール室内管弦楽団

収録:2019年4月&2020年2月、紀尾井ホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00738 ¥3000+税