レーガーに始まる20世紀ヴィオラ無伴奏の世界を示す、意義深い一枚。充実の名品と知られざる佳品を集めた、資料的価値。レーガー晩年の3曲の意外な聴きやすさと楽しさ、名ヴァイオリン奏者アドルフ・ブッシュの作品や未完のブロッホ作品の水準の高さなどの発見。そして、京響首席奏者の小峰航一の素晴らしい演奏による、聴覚の喜び。小峰の特長である、澄んだ淡麗の味わいのような美音を生かしつつ、真摯にして覇気も十分な構築で、稀少楽曲の真価を見事に表現。20世紀という時代にヴィオラに託された思いとは何か。ヴィオラ愛好者以外にも体験してほしい、渾身のアルバム。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年8月号より)
【information】
CD『モノローグ 無伴奏ヴィオラ作品集/小峰航一』
レーガー:無伴奏ヴィオラ組曲第1番〜第3番/ブッシュ:無伴奏ヴィオラ組曲/ブロッホ:無伴奏ヴィオラ組曲/ストラヴィンスキー:エレジー
小峰航一(ヴィオラ)
録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9028 ¥2800+税