今川映美子(ピアノ) シューベルティアーデ Vol.11

「幻想」に聴くシューベルトの真髄

(c)武藤 章

(c)武藤 章

 短い生涯のほぼすべてをウィーン付近で過ごしたシューベルトの音楽には、演奏家にとって、一朝一夕に再現できるようになることは不可能なウィーンの香りが満ちる。そんなシューベルトに生涯をかけて取り組む、ピアニストの今川映美子。べラ・バルトーク、エドウィン・フィッシャーに薫陶を受けた名教師、ゲオルク・ヴァシャヘーリのもとウィーンで研鑽を積んだ。2006年からは、ソナタの全曲演奏を中心としたシューベルト・ツィクルス《シューベルティアーデ》を継続し、回を重ねるごとにシューベルト弾きとしての評価を高めている。
 11回目を迎える今回取り上げるのは、「アレグレットD915」、ピアノソナタ第5番、死の年の作品である「3つのピアノ曲D946」、そしてピアノソナタ第18番「幻想」。特にこの美しいソナタの名作は楽しみだ。彼女のウィーンスタイルの気品あるピア二ズム、芯のある力強い音が、シューベルトの精神を代弁する。美しさだけでなく、滲み出す人間の葛藤を巧みに再現する、そんなシューベルトに期待したい。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2013年11月号から)

★11月12日(火)・東京文化会館(小)
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