【CD】ノスタルジア/綱川千帆

 12歳でイギリスに渡り、以来20年間ロンドンを拠点に活動。2010年に英国王立音楽大学修士課程を修了したのち、15年に帰国した綱川千帆のデビューアルバム。ベールをまとったような柔らかく光る音で奏でられるスカルラッティとベートーヴェンは、表情豊か且つ気品を備えた演奏で、安らかな空気を創出する。プーランクとラヴェルで随所に現れる、芯があって透明度の高い音、バルトークやプロコフィエフで鳴らされる妖しげな音、ビビッドな音など、現代ピアノならではの表現力を生かした多彩な音が収められている。幅広いレパートリーがまとめられ、1枚でさまざまな風景を見せてくれる。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2018年7月号より)


【information】
CD『ノスタルジア/綱川千帆』

スカルラッティ:ソナタ ニ短調、同ホ長調/ベートーヴェン:バガテル 変ホ長調/プーランク:間奏曲 変イ長調/ラヴェル:「鏡」より 悲しい鳥たち/バルトーク:ルーマニア民族舞曲/プロコフィエフ:束の間の幻影

綱川千帆(ピアノ)

コジマ録音
ALCD-9183 ¥2800+税