20世紀アメリカ音楽の諸相をめぐって
アメリカを代表する女性指揮者の一人であるジョアン・ファレッタが新日本フィルの「ルビー」(アフタヌーン コンサート・シリーズ)に登場する。彼女は、現在、バッファロー・フィルとヴァージニア交響楽団の音楽監督を務め、ナクソス・レーベルに近現代作品やアメリカの管弦楽曲の録音を数多く残している。
今回の来日でも、オール・アメリカン・プログラムを披露する。バーバーの交響曲第1番は、コープランドの第3番と並んで、アメリカの交響曲のなかで最も著名なものといえるだろう。ブルーノ・ワルターもレパートリーとした20分弱の単一楽章の交響曲。ガーシュウィンのピアノとオーケストラのための作品といえば、「ラプソディ・イン・ブルー」が思い出されるが、ガーシュウィンはその後本格的なピアノ協奏曲を書いている。「ラプソディ・イン・ブルー」ではオーケストレーションをグローフェに助けてもらったが、「ピアノ協奏曲 へ調」では自身でオーケストラ・パートも書いた。ガーシュウィンにとって、相当の意欲作である。日本を代表するジャズ・ピアニスト、山下洋輔の即興的な独奏も楽しみだ。アーロン・ジェイ・カーニス(1960年生まれ)は、調性に基づく美しい作品を書く、現代アメリカの作曲家。「ムジカ・セレスティス」も静謐で感動的な作品だ。そして締めくくりは、アメリカの大自然に生きる人々を描く、コープランドのバレエ組曲「アパラチアの春」。アメリカ音楽の魅力が満喫できる演奏会となるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年5月号より)
♯15 ルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉
2018.5/18(金)、5/19(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp/