エクス・ノーヴォ室内合唱団演奏会 vol.8 モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」

初期バロックの巨匠が目指した響きに迫る

福島康晴 C)Izumi Saito

 メモリアル・イヤーに相応しい名演と出逢えそう。指揮者でテノール歌手、作曲家の福島康晴が主宰する「エクス・ノーヴォ室内合唱団」が、クラウディオ・モンテヴェルディにより、1610年に出版された教会音楽の名品「聖母マリアの夕べの祈り」に対峙する。
 ミラノ市立音楽院古楽科などに学び、モンテヴェルディの生誕地クレモナでも研鑽を積んだ福島により、2014年に設立された同合唱団。1パート1〜3人の小編成でハーモニーを磨き上げ、後期ルネサンスからバロックの宗教作品の美を追究して来た彼らは、モンテヴェルディ生誕450年の今年を、ひとつの目標に置いてきた。
 福島の指揮で臨む今回は、ソプラノの阿部早希子ほか中堅と若手の実力派歌手を揃え、一次資料に基づき、1パート1人に限定。やはり最小人数の一方、通奏低音にテオルボ(大型リュート)3本を含めた珍しい編成をとる器楽陣も、時代特有の語法を知り尽くした名手で固める。さらに、福島の資料研究によって、テンポ設定も大幅に見直し。「初演を耳にした聴衆もかくや」という鮮烈な感動を蘇らせる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2017年11月号から)

2017.11/15(水)19:00 東京文化会館(小)
問:ムジカキアラ03-6431-8186
http://exnovochamberchoir.com/