音楽堂アフタヌーン・コンサート 山田和樹(指揮) 東京混声合唱団 特別演奏会

合唱とバレエが織り成すユニークなコラボレーションが実現


 唱歌から現代音楽までを歌う高度なテクニックと表現力で、我が国の合唱シーンで欠かせない存在になっている東京混声合唱団。昨年、創立60周年を迎え、その活動は円熟味を増している。この夏、2014年から同団音楽監督をつとめ、今もっとも注目を浴びている指揮者の山田和樹とタッグを組んで、ユニークな演奏会を神奈川県立音楽堂で開催する。
 声の織りなす美しいハーモニーの世界にバレエがコラボレーションするという視覚と聴覚の両方を喚起する企画だ。演奏会前半は、谷川俊太郎の詩による合唱作品二作、木下牧子の「地平線のかなたへ」に加え、気鋭の作曲家・上田真樹の「遠くへ」というプログラムである。
 そして後半は草野心平の詩による上田の新作(神奈川県立音楽堂による委嘱)でバレエの針山愛美との共演が実現する。針山はロシア留学後、数多くの国際コンクールでの受賞歴をもち、世界各地で活躍してきた実力派バレリーナ。ベルリン国立バレエ団での活躍もめざましく、13年にはバーデン・バーデン音楽祭でベルリン・フィルと共演している。
 今回はピアニストとして萩原麻未が登場するのも楽しみのひとつだ。10年ジュネーヴ国際コンクールでの優勝以来、その豊かな音楽性で高い評価を受けている萩原。ソロはもちろん、近年ではアンサンブルでの評価も急上昇しており、チェロの重鎮・堤剛とのデュオで話題をさらった。萩原の共演も晩夏の合唱の響きに華を添えてくれることだろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2017年8月号より)

2017.8/29(火)14:00 神奈川県立音楽堂
問:チケットかながわ0570-015-415 
http://www.kanagawa-ongakudo.com/