名手たちが結集して取り組むバッハ畢生の大作
日本を代表するカウンターテナーとして、国内外の舞台で美声を披露してきた青木洋也。指揮者としても活躍しており、今年で活動15周年を迎えた。そんな青木が常に演奏活動の軸としてきたのが、バッハの声楽作品。節目の年、一線で活躍する実力派の盟友たちを結集させ、その中でも畢生の大作と位置付けられる「ミサ曲 ロ短調」に挑む。
青木は東京出身。ヴァイオリンを学ぶ傍ら、東京少年少女合唱隊でボーイ・ソプラノとして活躍。東京芸術大学大学院で古楽演奏、さらにエリザベト音楽大学大学院で宗教音楽を学び、在学中から渡欧を重ねて、研鑽を積んだ。世界的に人気の高い、鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の主要メンバーとして、ライプツィヒ・バッハ音楽祭2012での「マタイ受難曲」をはじめ、多くの檜舞台で独唱を務めた。その一方、合唱指揮者としても、数々の合唱団やアンサンブルをリード、高い評価を受けている。
今回の「ミサ曲 ロ短調」のステージには、アルト独唱も兼ねる青木をはじめ、BCJでも共演しているソプラノの柏原奈穂やアルト(カウンターテナー)の中嶋俊晴、テノールの藤井雄介、バスの浦野智行ら古楽唱法にも長けた、実力派の声楽陣が顔を揃える。これを東京フィルや東京交響楽団のメンバーらで構成される、フィルハーモニーカンマーアンサンブル(コンサートマスター:石橋エドアルド和彦)がバックアップ。情熱溢れるカウンターテナーの名手が、今の集大成として紡ぐ、清新な調べに耳を傾けたい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2016年12月号から)
2017.1/21(土)14:00 紀尾井ホール
問:ABPコンサート事務局03-3367-2451