体験したことのない響きの世界へ
ドイツ、いや全ヨーロッパから先鋭的な芸術家が集まるハンブルクにあって、“最も独創的な演奏集団”と評されるのが、「アンサンブル・レゾナンツ」。そのグループ名の通り、過去と現在の作品を互いに共鳴(レゾナンツ)させ、時にコンサートホールも飛び出し、独創的な音楽空間を形創る。初来日のステージでは、やはり時代やジャンルを超越するトランペットの鬼才イエルーン・ベルワルツと共演。体験したことのない響きの世界へ、聴衆を誘う。
「アンサンブル・レゾナンツ」は、1994年に創設。時代を融合させた革新的なプログラミングと瑞々しい演奏で、伝統と現代の音楽との溝を埋めるべく、精力的に活動を続けている。自主団体として“アーティスト・イン・レジデンス”を迎える運営形態を取り、これまでにチェロのジャン=ギアン・ケラスらが務めた。今回、共演を果たすベルワルツは、NDRエルプ・フィル(北ドイツ放送響から今年7月に改称)首席奏者も務めた実力者で、バロックから現代、ジャズまでを吹きこなす。
今回のステージは、ドミトリー・シトコヴェツキーによる弦楽合奏への編曲版を基に、構成し直したバッハ「ゴルトベルク変奏曲」に、ベルワルツをフィーチャーしての細川俊夫のトランペット協奏曲「旅Ⅶ」を披露。さらに、俊英・瀬尾和紀をソロに迎えてのエマヌエル・バッハのフルート協奏曲(東京公演)や、リコーダーの山岡重治とオーボエの三宮正満、2人の古楽界の名手に、ベルワルツも加わってのバッハ「ブランデンブルク協奏曲第2番」(愛知公演)が組み合わされる。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ 2016年12月号から)
12/15(木)19:00 東京文化会館(小)
問:オカムラ&カンパニー03-6804-7490
12/16(金)19:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
問:愛知県芸術劇場052-971-5609
http://okamura-co.com/