ベルカントの女王の健在ぶりを目撃する!
日本には1980年にウィーン国立歌劇場と共に初来日、カール・ベーム指揮の《ナクソス島のアリアドネ》ツェルビネッタで、驚異的な超絶技巧を披露した。その空気のように軽やかで、宙を舞うようにやわらかなコロラトゥーラに、日本の聴衆はすっかり魅了された。それからは来日のたびに日本の聴衆との絆が深まり、日本にも熱烈なファンが大勢いる。年を重ねても声の艶は失われず、最高音もゆるぎない。独特の大きな弧を描くようにのびる高音と深い表現力に、そのステージを見た人は彼女の魅力のとりこになってしまうのだ。
今回のコンサートでは、これまで彼女が舞台で歌ってきたお得意のベルカント・アリアが並ぶ。しかも《ルチア》と《清教徒》の2つの長い“狂乱の場”まで歌うのだ。さらに近年になって開拓した新しいレパートリー、《異国の女》の珍しいアリアまで。常に挑戦しつづける、グルベローヴァの衰えないエネルギーに、感嘆!
文:石戸谷結子
(ぶらあぼ 2016年10月号から)
エディタ・グルベローヴァ オペラ名曲を歌う〜2つの狂乱の場〜
11/9(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:コンサート・ドアーズ03-3544-4577
http://www.concertdoors.com
他公演
10/19(水)茨城県立県民文化センター(029-241-1166)
11/12(土)川口総合文化センター リリア(048-254-9900)