上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

華麗なサウンドで新時代の幕開けを告げる

上岡敏之 ©大窪道治

上岡敏之 ©大窪道治

 いよいよ新日本フィルの新音楽監督に就任する上岡敏之。就任記念公演となる9月のサントリーホール・シリーズ『ジェイド』は、リヒャルト・シュトラウスの絢爛たるふたつの交響詩で幕を開ける。シュトラウスは上岡がたびたび取りあげてきた得意のレパートリー。「ツァラトゥストラはかく語りき」と「英雄の生涯」、いずれも大編成のオーケストラによる壮麗なサウンドが聴きものである。オーケストラの機能性が最大限に発揮され、管弦楽法の大家であったシュトラウスならではの響きの芸術を堪能できることだろう。
 選曲も興味深い。「ツァラトゥストラはかく語りき」といえば、「日の出」と呼ばれる冒頭部分がなんといっても有名だ。まさに新たな時代の幕開けにふさわしい選曲といってよいだろう。一方、「英雄の生涯」は作曲者の自伝的交響詩。作曲時にシュトラウスがまだ30代前半だったことを考えるとずいぶん気の早い自伝だが、交響詩の作曲家としてはこの作品で頂点が築かれている。輝かしいヒーローの物語が、これからの新日本フィルで紡がれていくのだという予感を抱かせる。
 「英雄の生涯」の聴きどころのひとつは、コンサートマスターによる長大で技巧的なヴァイオリン・ソロ。「英雄の伴侶」を意味するこの大ソロを崔文洙(チェ・ムンス)が奏でる。マエストロとの厚い信頼関係が伝わってくるのではないか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2016年9月号から)

第561回 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉
9/9(金)19:00 サントリーホール
横浜みなとみらいホール 特別演奏会
9/11(日)14:00 横浜みなとみらいホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp