フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2016

10のプロ・オーケストラが夏の川崎に集結!

 同じホールで首都圏の主要プロ・オーケストラが次々に聴けるという、ほかでは味わえないことがミューザ川崎シンフォニーホールでは起きる。早くも12年目を迎える『フェスタサマーミューザ』だが、今年は7月23日から8月11日までの20日間で10のプロ・オーケストラが出演。聴き慣れているオーケストラを別のホール(ミューザ川崎)で味わえるという方にも、比較的安価なチケットで気になっていた指揮者やオーケストラを聴きたいという方にも、大きなチャンスである。

今年も多彩なプログラムが実現

 オープニングとフィナーレを飾るのは、例年どおり東京交響楽団だが、そのオープニング(7/23)にはジョナサン・ノットが音楽祭初登場。ベートーヴェンの「田園」をメインに、ヴィラ=ロボス(ニューヨークの風景を図形譜にした珍作!)とアイヴズの曲を組み合わせるのもノットらしい。フィナーレ(8/11)にはベテランの秋山和慶が指揮台に上り、ベートーヴェンの交響曲第7番ほか、侍BRASSなどで活躍する中川英二郎がガーシュウィンなどと並び称されるアメリカの作曲家、シルクレットのトロンボーン協奏曲を演奏する。
 9月から新音楽監督体制となる上岡敏之と新日本フィルハーモニー交響楽団は、スペインのテイストを盛り込んだプログラムで前祝いを(7/25)。ステージ上に多彩な楽器が並ぶプログラムであり、ゴージャスなオーケストラ・サウンドを味わいたい方にはおすすめだ。桂冠名誉指揮者のチョン・ミョンフンと東京フィルハーモニー交響楽団によるチャイコフスキー・プログラム(7/27)は、横綱相撲とでも言うべき風格に満たされることだろう。同じく小泉和裕と東京都交響楽団も、ベートーヴェンおよびブラームスの交響曲第2番(しかもニ長調つながり)で自信にあふれた音楽を聴かせてくれるはずだ(7/31)。ベートーヴェンといえば、ホルン奏者のラデク・バボラークが指揮者を務め、「英雄」交響曲や同時代を生きたクーラウのピアノ協奏曲(ソロは仲道郁代)を演奏する日本フィルハーモニー交響楽団の公演も目を引く(8/7)。
 新国立劇場での《ローエングリン》公演も好評だった飯守泰次郎の指揮と、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団のワーグナー・プログラムも、風格と壮麗さにかけては負けない。しかもクラリネットのシュミードルをゲストに迎えてのモーツァルトが加わるという、豪華な一夜である(8/10)。そのモーツァルトとR.シュトラウスを組み合わせた川瀬賢太郎と神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサートは、ホールが麗しい響きで満たされるプログラム(8/5)。声楽ファン、オペラ・ファンは必聴だ。

ポップス・コンサートやファミリー向け公演も充実

 読売日本交響楽団はポップス・コンサートでおなじみのボブ佐久間と、数々の名アレンジで人気の高い萩田光雄が指揮台に登場し、さらにはジャズ・ピアニストの前田憲男がゲスト出演するジャズとシャンソンの夕べ(7/28)。オトナのデートに最適な公演かもしれない。NHK交響楽団も、今年は『サンダーバード』や『ウルトラセブン』『ゴジラ』などのテーマ音楽が鳴り響くバラエティ豊かなプログラム。大河ドラマ『真田丸』のテーマ音楽では作曲者(服部隆之)の娘であり、ザハール・ブロンに師事している服部百音がソロ・パートを演奏する(7/30)。東京ニューシティ管弦楽団はお子様と一緒に楽しめるファミリー向けのプログラム、ホールが楽しい音楽と歌であふれるだろう(7/24)。
 また、神奈川フィル(7/31)と東響(8/7)が出演する「出張サマーミューザ@しんゆり!」も昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワで開催される。
 都会の夏フェス『フェスタサマーミューザ』は、今年もさまざまな名演を聴かせてくれそうだ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年7月号から)

7/23(土)〜8/11(木・祝) ミューザ川崎シンフォニーホール 他
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 
https://www.kawasaki-sym-hall.jp
※『フェスタサマーミューザ』の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。