ウィーン国立歌劇場

ドイツの王道プログラムを携えて4年ぶりの来日

 ドイツのオペラ史に燦然と輝く3人の作曲家、モーツァルト、ワーグナー、そしてR.シュトラウス。ウィーン国立歌劇場が4年ぶりにその代表作を携えて日本公演を行うとなれば、その威信を賭けて指揮者・歌手ともに最高のメンバーを揃えてくるのは、例年と同様である。ここでは主に指揮者と出演者を紹介したい。
《ナクソス島のアリアドネ》で注目すべきは、表題役を歌うグン=ブリット・バークミン。前回の来日公演と昨年のNHK交響楽団での演奏会形式では圧倒的なサロメを歌い、存在を強く印象づけた。人気のコロラトゥーラ・ソプラノ、ダニエラ・ファリーがツェルビネッタを歌うのも嬉しいところだ。東京・春・音楽祭でワーグナーを振っているマレク・ヤノフスキが、堅実かつ引き締まった指揮でシュトラウスのスコアを彫琢してくれるにちがいない。
長大な4部作《ニーベルングの指環》第2作となる《ワルキューレ》では練達の職人アダム・フィッシャーが指揮を執る。圧倒的な声量と抜群の演技力を誇るヴォータン役のトマス・コニエチュニーが、桁外れの歌唱を聴かせてくれるに違いない。ブリュンヒルデ役のニーナ・シュテンメも、いまがまさに旬。第3幕、この父娘ふたりの語らいは、秋の音楽界におけるハイライトのひとつとなるだろう。
不朽の名作《フィガロの結婚》では、巨匠リッカルド・ムーティみずからが選び抜いた若手歌手が活躍するはず。すでに日本でも卓越した実力を遺憾なく発揮した伯爵夫人役のエレオノーラ・ブラットと、ベテランの域にさしかかる伯爵役イルデブランド・ダルカンジェロによるアンサンブルに期待は高まる。
文:広瀬大介
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年5月号から)

《ナクソス島のアリアドネ》 10/25(火)19:00、10/28(金)15:00、10/30(日)15:00 東京文化会館
《ワルキューレ》 11/6(日)、11/9(水)、11/12(土)各日15:00 東京文化会館
《フィガロの結婚》 11/10(木)17:00、11/13(日)15:00、11/15(火)15:00 神奈川県民ホール
2演目&3演目セット券(S,A,B券) 4/23(土)発売 全公演のS〜D券 6/4(土)発売
問:NBSチケットセンター03-3791-8888
http://www.nbs.or.jp