アンサンブル・アフタヌーン Vol.2 音楽で夢みる午後

室内楽の名曲を楽しむ贅沢な午後のひととき

 大編成のオーケストラや一人だけのピアノ・リサイタルなどと異なり、室内楽の魅力は演奏者数名のバランス感覚や関係性、それぞれの個性や仕掛け合いなどが明確に感じ取れることだろう。しかもそれは室内楽の演奏に長けた練達の士であればこそ可能性が広がり、演奏の充実度アップが期待できるのは言うまでもない。
若手ヴァイオリニストの注目株である成田達輝、どのような編成であってもアンサンブルを融合させてしまうヴィオリストの川本嘉子、すでにベテランの風格を漂わせているチェリストの趙静、そして揺るぎない要として存在感を示すピアニストの練木繁夫。この4人によるコンサート『音楽で夢みる午後(アフタヌーン)』は、平日(金曜日)の午後でありながら、演奏・選曲共にかなり本格的な室内楽が堪能できるはずだ。
コンサートのメインとなるのは、ブラームスが20代後半に完成させたピアノ四重奏曲第1番。青年の作品とはいえ3曲のピアノ・ソナタやピアノ協奏曲第1番、弦楽六重奏曲第1番などがすでに発表された後であり、後年の風格を予感させる部分がたくさんあるという名曲なのだ。コンサートの前半にはソロやデュオで聴かせるバッハ、ショパン、モーツァルトの作品が並び、リラックスして聴けるようなプログラムとなっている。
夜のコンサートには行けないけれど昼間なら! という方は、この本格派コンサートをお聴き逃しありませんよう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)

5/20(金)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp