新国立劇場バレエ団『DANCE to the Future 2016』

ダンサーたちが創り出す瑞々しい感性

『暗やみから解き放たれて』より Photo by Takashi Shikama
『暗やみから解き放たれて』より Photo by Takashi Shikama

 バレエが観客にもたらす感動はさまざま。何度観ても古びない古典もいいし、未知の感動に出会うワクワク感もたまらない。新国立劇場バレエ団のダンサーたちが、鮮度の高い作品に全力でチャレンジする本シリーズは、さしずめ後者の代表だろう。
 第一の見どころは、バレエ団のダンサーが振り付けた作品を本人や仲間たちが踊る「NBJ Choreographic Group」の作品群。バレエ団の中から振付家を育てることを目標に2012年からスタートした企画で、確実なテクニックを持ったダンサーたちが踊る“できたてほやほや”の作品は、それぞれに作者の個性が息づき、見応えは十分だ。これまでにもネオ・クラシック風の群舞や繊細なソロ、斬新なコンテンポラリーなど多彩な作品が舞台を飾っているが、「あの人がこの振付を?」という驚きや発見も随所にあり、舞台で見慣れたダンサーたちの新たな魅力に触れられること必至。今回は米沢唯や髙橋一輝ら、7人のダンサーの振付が登場する。
 もうひとつの見どころは、世界的に注目を集める振付家ジェシカ・ラングが、新国立劇場バレエ団のために創作した作品『暗やみから解き放たれて』の再演。ラング自身の手による現代アート風の装置や、ダンサーたちの洗練された美しい動きは、14年3月の初演時にも評判を呼んだ。日々真剣にダンスに向き合う彼らが、2年の時をかけて磨き上げた表現に期待が高まる。
文:新藤弘子
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から) 

3/12(土)、3/13(日)各日14:00 新国立劇場(中)
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
http://www.nntt.jac.go.jp/dance