色彩感やリズム感が存分に生きるモダンな選曲
その後のデ・ラ・パーラ、出産などで間隔が少しあいたが、来年1月にはN響を振りに再来日する。彼女の得意とする色彩感やリズム感が存分に生きるモダンな選曲となっているのも嬉しい。ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」では、しっとりと幻想的なフレンチの桃源郷が描き出され、その幻想はストラヴィンスキーの「春の祭典」で恐ろしい生け贄の踊りへと変容するはずだ。随所で脱臼するリズムは、アメリカやラテンのノリとも違うものだから、ここでデ・ラ・パーラがどんなアプローチをみせるかをチェック。2曲の間に挟まれたショスタコーヴィチ「チェロ協奏曲第1番」では、チャイコフスキー国際コンクールの覇者、アルメニア生まれのナレク・アフナジャリャンがソリストを務める。西アジアの濃厚な歌のテイストが、アメリカ大陸育ちの大らかな気質と化学反応を起こす。そして、オーケストラはパーヴォ・ヤルヴィの首席指揮者就任で勢いを増すわれらがN響だ。
アメリカ、フランス、ロシア、コーカサス、そして日本…。どうやらこのコンサートの隠れテーマは、グローバリゼーション時代の異文化交流のようだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)
2016.1/31(日)15:30 Bunkamuraオーチャードホール
問:Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999
http://www.bunkamura.co.jp