高関健&東京シティ・フィルが「トゥーランガリラ交響曲」でシーズン・ラストを飾る

左:高関 健 ©K.Miura/原田 節 ©Yutaka Hamano/児玉 桃 ©Marco Borggreve

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団は、11月の第383回定期演奏会で20世紀フランスを代表する作曲家オリヴィエ・メシアンの代表作「トゥーランガリラ交響曲」を取り上げ、シーズンを締めくくる。

 「トゥーランガリラ交響曲」は大編成の管弦楽による豊潤なパレットに、ソリスティックなピアノ、さらには神秘的な電子音を奏でるオンド・マルトノが彩りを添える。メシアンが長年にわたって深めてきたリズムや旋法についての作曲技法が縦横無尽に駆使され、サンスクリット語に由来する「愛の歌」という主題が、シンメトリカルに構成された全10楽章にわたり、1時間半という空前の規模で展開される。

 東京シティ・フィルの常任指揮者・高関健は、その丹念な解釈と緻密な構築力でこれまでにも数々の大曲の上演を成功に導いてきた。ソリストには日本におけるオンド・マルトノの第一人者・原田節とメシアンのスペシャリストとして世界的に認知されるパリ在住のピアニスト・児玉桃という二人のベテランを迎える。楽曲の魅力を最大限に引き出すベストなキャスティングとなっている。

 ジャングルのように入り組んだ音の迷宮に、東京シティ・フィルが総力を挙げて挑戦する意欲的な演奏会で、今シーズンの集大成というにふさわしい。東京オペラシティが豊穣なサウンドで満たされ、愛の深淵へと誘われる一夜となろう。公演前には高関によるプレ・トーク(13時40分〜)も予定されており、楽曲の背景や解釈のポイントについて解説してくれる。

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2025年9月号より)

高関 健(指揮)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第383回 定期演奏会 
2025.11/8 (土) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス 03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp